母から相続した畑に抱いた妹の想い

今日はKさんより、妹様のお話です。畑を毛嫌いしていた妹さん。実は言葉とは裏腹に心の中は違っていたんですね。
優しい妹さんです。心より親子、姉妹の良い関係が伝わってきます。ありがとうございます。
私には兄と妹がいます。兄は母と同居、私はそこから車で数十分離れたところに旦那と子供と暮らしていました。
妹だけは、都会に就職し一人で暮らしていました。なぜなら妹は田舎が嫌いだからです。
私の実家は見渡す限り畑が続いていて、車がなければ買い物にも行けないような所です。
肥料の臭いも凄くて、風が強い日は洗濯物に臭いがついてしまうのも普通でした。そんな田舎を妹は幼い頃から嫌がっていて、高校卒業と同時に家を出ました。
ところが母が亡くなってすぐ、妹が実家に帰ってきました。既に仕事も辞めたようで、こちらで再就職先を探すと言っていました。
母が残してくれたのは畑くらいで、財産はほとんど残っていなかったので私達兄妹が分割相続したのは畑だけでした。
だからお金はないはず。おかしいなと思い暫く妹の様子を見ていると、妹は畑に関する本や資料を熱心に読み、耕し始めました。
暫く使っていなかった土なので、いい状態にするために肥料もたくさん買ってきたようでした。
あんなに嫌っていた畑をいじるようになった妹に、どうしたの?と訪ねると、お母さんが残してくれた唯一のものだから大事にしたいと言っていました。
私はそれを聞いて凄く胸が熱くなりました。
母の死に目に、妹がしきりにごめんねごめんね、と言っていたのはこの事かもしれないと思いました。
妹は、母の自慢である畑を嫌い馬鹿にしていたことをずっと悔やんでいたんです。
かなり広い畑なので、耕具を使っても一人では大変だと思い、私も家事や育児の合間に妹を手伝うことに。
すると畑の事を何もわかっていないだろうと、兄も仕事の前や休日には手を貸してくれるようになりました。
母から相続した荒れた畑が、兄妹の絆を強くし、今また母が元気だった頃のように生き返ろうとしているようです。