大切に保管されていた思い出

今日はFさんより、アルバムのお話です。アルバムは他人には価値がなくてもご本人、ご家族にとっては貴重な財産です。アルバムの貴重なお話し、ありがとうございました。心が温まります。
私が小学2年の時祖母が亡くなり、祖父は老人ホームで生活することになり、祖父母の思い出の家を壊すことになりました。
お化けがでてきてもおかしくないようなたたずまいの、それは古い家でしたので、売る価値もなかったのです。小さいながらにぼろくて古い家だなと感じていました。
しかし大好きな祖父母の住んでいた家は温かみを感じる場所でした。
部屋はふすまで区切られただけの4畳の畳部屋が3つと小さな台所、トイレは旧式のぼっとんトイレでした。
畳の部屋には小さいころから遊んでいた足でこぐタイプのミシンが置いてありました。
遺品整理の時、真っ先に自分と兄が向かったのはミシンでした。もう遊べなくなる事が名残惜しくて両親が遺品を整理し始めている間、しばらくミシンをギコギコと鳴らしていました。
しばらく遊んだあと、遺留品の整理の手伝いを始めました。食器棚からは消費期限の大幅に過ぎたものがいくつか出てきて、中にはとんでもなく変色しているものもありました。
それでも子どもだった私はまるで宝さがしをしている気分で片づけを手伝っていました。写真アルバムも出てきました。祖父母自身の写真は大して多くはありませんでした。少し若い頃の祖父母を見て、母にそっくりだと感じました。
古いアルバムよりも新しいアルバムの方に目が行きました。
別の缶に入れてあったからです。新しく買ったのであろうアルバムの中には私たち家族の写真がきれいに整頓されて置いてありました。
家族旅行に行った時に送った写真や、祖父母と一緒に撮った写真が大事に保管されていました。
そして、缶の中には祖父母に送った手紙や絵もすべて保管されていました。幼稚園のおそらくは年少くらいに書いたであろう絵も残っていました。
金銭価値のあるものは何一つとしてその家にはなかったけれど、その思い出こそがお金に変えられない何よりも大事な価値であると思いました。